事例
Arla Foods が工場の重要な給水システムで 481,800 kWh の省エネを達成
世界有数の乳製品メーカーである Arla Foods は、2050 年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを実現するという目標を掲げ、取り組みを始めています。そのための最初のステップが、2030 年までに世界の 60 箇所の乳製品工場でCO2排出量を 63% 削減するという効率化目標です。そして、グルンドフォスはこの計画にとって欠かせない存在となっています。
グルンドフォスはポンプを販売するだけでなく、当社のエネルギー削減目標の達成をサポートしてくれており、Arla の全社的な取り組みに関して非常に重要な役割を果たしています。
近年、グルンドフォスは、Arla Foods の英国ウェストバリーの乳製品工場に、新たなインテリジェントポンプを提供しました。実績あるエネルギー評価によって検証された結果に基づき、グルンドフォスは同施設の冷水および氷水システムで年間 481,800 kWh の電力と 194 トンの CO2 を削減し、2年以内の投資金額の回収達成をサポートしました。
「ウェストバリーの施設は、当社のグローバルなサステナビリティアジェンダの一環として、 2030 年の効率化目標に向けた取り組みを始めるために、最適な場所であることが証明されました。ここで記録された、エネルギー使用量、CO2 排出量およびコストの大幅な削減と運用の改善につながった成功事例を、他の施設でも活用できるからです」と、Arla Foods のサプライチェーンサステナビリティ PMO 責任者である Mia Bredal 氏は説明しています。
エネルギー効率の向上につながる最適化のための計画は、Arla Foods のサステナビリティに対するグローバルな目標という、より広い文脈でとらえる必要があります。
「2050 年までにカーボンニュートラルを達成するという目標は、実現のための技術の多くがまだ発展途中であるため、詳細な計画として具体化されていません。したがって、私たちが当面重点を置いているのは、定量化が可能なデータとすでに把握しているコストに基づく効率化目標です。そのため、2030 年までに世界各地にある 60 箇所の施設で CO2 排出量を 63% 削減するという効率化目標と、2025 年までに電力の 100% を再生可能エネルギー源から供給するという目標を設定しています。これらの目標には、達成に向けた具体的な計画があります」と、Arla Foods の Mia Bredal 氏は付け加えます。
状況
ウィルトシャー州のウェストバリーにある Arla Foodsの施設では、さまざまな乳製品を製造しています。Arla Foods は、持続可能な農業と運営を通じて良質な乳製品を提供することに力を入れており、有機乳製品の世界最大規模の有機乳製品メーカーでもあります。
この施設は、英国向けの調整工場として 2002 年に建設されました。当時、この工場は農業協同組合のグループによって運営されており、2016 年に Arla Foods が引き継ぎました。調整工場では、余剰の牛乳やクリームから保存性の高い製品を製造しており、酪農家に還元される乳価を維持するために戦略的に重要な施設です。
施設には、冷水および氷水用、プロセス水供給用、蒸気ボイラ給水用のポンプが設置されています。Arla Foods は 2020 年の末頃にグルンドフォスに連絡を取り、冷水および氷水のアプリケーションを最適化するためのサポートを依頼しました。
「グルンドフォスに初めて連絡したのは、駆動装置と空調機の水循環についての相談のためでした。その後、私たちがどの部分で省エネを実現できるかを調べてもらいました。グルンドフォスが最初に注目したのは冷水ポンプでした」と、Andy Newman 氏は説明します。同氏は、新しいポンプのプロジェクトに従事し、それ以来そのポンプのメンテナンスを担当しています。
工場では、低温殺菌後のプロセスや製品の処理などさまざまな作業で、冷水と氷水を扱う冷凍プラントの 2 組のポンプが欠かせません。既設のポンプは工場が建設されてから 20 年間にわたって稼動していましたが、直接設備に接続されていて一部には水漏れが見られました。そのため、ウェストバリーの担当者は頻繁な点検とメンテナンスの難しさという 2 つの面で課題を抱えていました。
「設備の更新や新しい機器の設置を行うメンテナンスプロジェクトが発生した際、私たちが常に確認することの 1 つが、エネルギー消費に関する最善策です。エネルギーの削減が可能であることが確認されたら、グルンドフォスの出番です」と説明するのは、Arla Foods のプロジェクト責任者である George Nicholls 氏です。同氏は、CAPEX プロセスの管理を主に担当し、プロジェクトを完成まで手配、管理するサポートをしています。
グルンドフォスのソリューション
グルンドフォスが初めて施設を訪問した際、現場を視察して改善の可能性について Arla Foods と話し合った結果、最初の監視対象として冷水ポンプが選択されました。グルンドフォスは、システムが実際に消費するエネルギー消費量を特定するために、システム内にセンサを設置して既存の環境の実際のデータを取得するなどの方法でエネルギー評価 (省エネ診断) を実施しました。
「グルンドフォスの担当者は自社製の機器を持参しており、そのすべてがモデムと SIM カード付きで電源に差し込むだけのクランプメーターでした。私たちがすることは何もありませんでした」と、Arla Foods のサービス担当者、Andy Newman 氏は言います。
グルンドフォスが行った測定により、既存のポンプの現状データが性能曲線からかけ離れており、非効率的であることがすぐにわかりました。その結果、既存システムの最適化と小型化により、より良い制御と運転が実現され、どのようなエネルギー消費量の削減とプロセス改善がもたらされるかを示す詳細なレポートが完成しました。
「グルンドフォスからは、技術的なメリットだけでなく、エネルギー消費、コストおよびサステナビリティのメリットについても説明がされた、非常に明確なレポートが提供されました。私たちは、そのプロジェクトから多くの成果を得ることができました」と、Arla Foods のプロジェクト責任者、George Nicholls 氏は語ります。
「レポートが実際の測定結果に基づいているという事実から、グルンドフォスがどのように調査を行ったのかも明確であり、私たちにとって非常に有益だったと思います。調査は適切に行われ、非常に役立つものでした」
Arla Foods にとって、行動を起こすという決断は当然の結果でした。設備投資にかかるコストに対し、既存のランニングコストと将来のランニングコストの比較結果が明示され、投資の回収期間が Arla Foods の設定する期限内であることをウェストバリーのチームがすぐに確認できる形式で提示されました。
「レポートを手に取り、それを読んでメリットを理解した後は、さまざまな面から投資金額の回収期間を考慮したうえで、決定を下すことは非常に簡単でした。私たちにとってはためらうことのない決断だったと言えます」と、Arla Foods のプロジェクト責任者、George Nicholls 氏は結論付けています。
グルンドフォスのチームは、インテリジェントなポンプと制御装置の選択について助言し、冷水と氷水のための設置、配管、試運転、節約の検証を含む、設備一括請負契約型のシステムを提供しました。冷水システムについては、3 台の古い 55 kW ポンプを、周波数変換器と 3 台の新しい NB 80-200 37 kW ポンプと入れ替えました。氷水システムについては、3 台の古い 22 kW ポンプを、周波数変換器を内蔵した 3 台の新しい TPE 200-70 7.5 kW ポンプと入れ替えました。
乳製品工場の年間生産計画を維持するために、設置作業にはかなりの準備が必要でした。要件の 1 つは、1 台のポンプが待機状態であったとしても、各システムの 3 台のポンプすべてが稼働状態であることでした。ウェストバリーの施設の稼働停日は多くないうえ、乳製品工場の稼働停止は丸 1 日ではなく 12 時間です。信頼性を確保するために、3 台のポンプのうちの 1 台も欠けてはならず、設置に時間をかけたり、時期をずらしたりすることはできませんでした。
グルンドフォスは、私たちのビジネスの性質と継続的な運転の必要性を明確に理解していました。グルンドフォスは時間をかけて、必要とされる準備作業を特定しました。そのため、作業は現場への影響を最小限に抑えて進められました。プロジェクトを管理する私の立場からすると、コミュニケーションおよび製品の発注から納品までのプロセスは、非常に明確で、プロフェッショナルなものでした。これは非常に良い経験だったと言えます。
成果
新しい NB ポンプと TPE ポンプ (それぞれ外部および内蔵の周波数変換器付き) は、12 時間以内に運転を開始しました。
「新しいポンプは、はるかに優れた設計のポンプです。まだ調整バルブを使用していますが、圧力制御もできる仕組みになっています。これで各ポンプの操作が自動化され、私たちが変更可能な設定値に沿って制御ができます。また、監視機能も強
化され、ポンプのエネルギー消費量を現地で確認できるようになりました」と説明するのは、Arla Foods のサービス担当者である Andy Newman 氏です。
「もう 1 つのメリットは、プラントルームのメンテナンスが簡単になることです。基本的に床は完全に乾いた状態を保てるようになりました。水が漏れることもなく、作業も大幅に削減されています。作業環境も改善されました。」
また、Arla Foods のウェストバリーの工場では、必要な部品在庫が減ったことで、コストがさらに削減されました。たとえば、ポンプが必要とするメカニカルシールは、2 種類だけで済むようになりました。
これまでにグルンドフォスといくつかの優れたプロジェクトを行ってきましたが、どれもスムーズでうまく管理されています。非の打ち所がありません。
「本当に多くの面で成果が上がっています。サービス担当者が特に求めているのは、目的の用途で優れた性能を発揮する、信頼性が高い機器です。私たちもビジネスですから、当然、業務をより効率的に進めるよう努める責任があります。ビジネスには注目すべきいくつかの側面がありますが、私たちにとってこのプロジェクトは複数の面でメリットを提供してくれており、コスト、サステナビリティ、技術面の要件すべてを満たしています」と、Arla Foods のプロジェクト責任者である George Nicholls 氏は付け加えます。
Andy Cook 氏は Arla Foods のウェストバリーでエンジニアリングチームのリーダーを務め、現場のサービスチームと協力しながら働いています。「私の場合、グルンドフォスへの評価は素晴らしいの一言です。これまでにグルンドフォスといくつかの優れたプロジェクトを行っていますが、スムーズでうまく管理されています。非の打ち所がありません。」
「このプロジェクトでは、1 回の設置で多くの目的を達成できました。設備を更新し、コストと CO2 排出量の削減効果が得られ、当社が目指している全社での 63% の CO2 削減に向けて非常に有益となっています」と、Arla Foods のプロジェクト責任者である George Nicholls 氏も同意します。
冷水と氷水の循環を最適化した後、次にグルンドフォスが Arla Foods のウェストバリーの施設で取り組んだプロジェクトは、ボイラ給水ポンプの更新でした。蒸気ボイラは乳製品製造において多くの加工プロセスで使用され、蒸気が大きく関わる蒸発器を運転するうえで欠かせません。この新しいプロジェクトでは、新しいポンプによりボイラ給水を改善し、年間 4096 kWh、CO2 換算量にして 33.81 トンの削減に成功しました。
提供された製品とサービス
- 省エネ診断
- 3台の NB 80-200 37 kW ポンプと周波数変換
- 3台の TPE 200-70 7.5 kW ポンプ (周波数変換器内蔵)
- 設置、配管、試運転を含む、設備一括請負契約型のシステム
パートナーシップ
グルンドフォスと Arla の協力関係は、数年にわたって築き上げられた信頼に基づいています。Arla Foods のウェストバリーの施設など、世界中の拠点で導入が進むサステナビリティプログラムは、単なるポンプの入替ではなく、各施設で目標達成を実現するための取り組みであり、施設ごとに異なったソリューションが提供されます。
削減可能な電力を定量化するためのエネルギー評価など、Arla Foods のウェストバリーの施設で昨年行ったエネルギー消費の最適化と運用の改善を通して、私たちのパートナーシップはさらなる発展を遂げました。
「エネルギー評価は Arla とグルンドフォスの担当者の確かな技術に裏付けられた共同作業であり、Arla とグルンドフォスの間には真のパートナーシップがあります。他の施設も近いうちに、エネルギー評価プロセスのためにグルンドフォスとの面談を始める予定です。グルンドフォスは、再現可能なプロセスと比較可能なデータを保証するツールとシステムでサポートしてくれます」と、Arla Foods の Mia Bredal 氏は言い、次のように締めくくります
「このようにグルンドフォスは、ポンプを販売するだけでなく当社のエネルギー削減目標を達成するサポートをしてくれており、Arla の全社的な取り組みに関して非常に重要な役割を果たしています。」
食品・飲料分野の生産における持続可能性を向上する未来への道は、目の前にあります。