廃水の種類と最適なポンプタイプ
廃水の様々な種類と、使用するポンプの選び方について学びましょう。
廃水システムに最も適したポンプを選ぶには、取り扱う廃水の種類を知ることが重要です。
このタスクでは、建物内の各種サービスや自治体における様々な廃水の種類と、グルンドフォスがおすすめする、それぞれの問題に最も適したポンプタイプについて解説していきます。
廃水システムの目的は、廃水が道路にあふれ出るといったような衛生上のリスクやトラブルを最小限に抑えることができるように廃水を処理することです。
廃水には主に4つの種類があります:
- 排水
- 雨水
- 廃液
- 下水
しかし、すべての廃水ポンプがあらゆる種類の廃水に適しているわけではありません。排水ポンプや廃液ポンプは下水の移送に使うことはできませんが、下水ポンプはあらゆる種類の廃水に使用することができます。
適性を決める条件の1つが、ポンプ内の通路の大きさです。廃水に固形物が多いほど、大きな通路が必要になります。また、求められる流量が大きいほど通路を大きくしなければなりません。
では、それぞれの廃水種類の特性と、その内容物を移送するポンプに求められる条件について解説していきます。
排水とは排泄物や紙、オムツ、繊維など、配管を詰まらせる不純物が混じっていない廃水のことを指します。
排水には固形物が含まれていないため、Unilift のように、セミオープンインペラを搭載し、通路が10~12 mmの浸漬型排水ポンプが最適です。ポンプ入口にはストレーナがあるため、万が一水に不純物が含まれていても、ポンプ内に入ってしまうことはありません。
雨水は言い換えれば地表水ですが、その性質は排水とほぼ同じです。唯一の違いは、雨水には砂や砂利などの不純物が含まれる場合があることです。また、雨水は排水よりも容量の大きなポンプが必要です。
例えば雨量の多い地域など、Unilift 12のような排水ポンプで必要な容量を満たせない場合は、より通路と容量が大きい下水ポンプがぴったりです。
要件に応じて、電動機が大きく、S-tubeインペラやSuperVortexインペラを搭載した、通路が50~100 mmのSLポンプやSEポンプが良いでしょう。
廃液とは排泄物のない廃水です。廃液の典型的な例は、クリーニング店や洗車エリア、空港の除氷エリアなどで排出される、繊維や木の葉など、排水ポンプを詰まらせる恐れのある水溶性固形物や懸濁固形物を含んだ排水などです。
廃液には小さな不純物しか含まれていないため、通路が30~35 mmのUniliftのような廃液ポンプで十分に信頼性の高い運用ができます。ですが、最終的にポンプを決めるのは流量要件です。はじめにご説明したように、求められる流量が大きいほど通路を大きくする必要があります。
Uniliftポンプ以上の流量が必要な場合は、より電動機が大きくS-tubeインペラやSuperVortexインペラを搭載したSLポンプやSEポンプが適しています。
下水とは、トイレからの排泄物が含まれた廃水です。
下水は住宅や商業ビル、自治体の下水ネットワークをつなぐポンプステーションから送られ、その性質は発生源によって異なります。
住宅から出る下水は、台所やお風呂場、トイレ、洗濯機で使われた水です。住宅からの下水には排泄物やトイレットペーパー、洗剤などph値が4~9の化学薬品が含まれています。
住宅からの下水の移送には、Unilift ポンプのほか、Vortexインペラまたはチャネルインペラを搭載した通路50~65 mmのSLポンプやSEポンプが適しています。
例えば人口の少ない地域にある、位置エネルギーが利用できない加圧装置のようなケースで、必要な容量が1秒あたり1~4ℓ以下の場合は、代わりに粉砕ポンプを使用するとよいでしょう。
住宅からの下水と、商業ビルや自治体の下水ネットワーをつなぐポンプステーションからの下水の違いは、商業ビルやポンプステーションからの下水は内容物が不明な場合があるという点です。廃水の中からストッキングやごみ袋、オムツ、生理用ナプキン、手袋といったものがみつかることも珍しくありません。
詰まりを防止するには、S-tubeインペラやSuperVortexインペラを搭載した、通路が80 mm以上のSLポンプやSEポンプのような浸漬型下水ポンプがおすすめです。
グルンドフォスの特許取得S-tubeインペラは、固形物を最大3%含む、大きな通路と高い水力効率が必要な用途に適しています。
SuperVortexインペラは固形物を最大5%含む下水向けです。対応できる内容物は:
- 大量の固形物
- 大量の繊維
- 気体を含んだスラッジ
- 研磨性物質です。
よって、システムに最も適したポンプとインペラを選ぶ第一歩として、移送する廃水の内容物を知ることが必須です。
基本的なルールとして、廃水に含まれる固形物が多いほど、または求められる流量が大きいほど、通路の広いポンプを選ぶようにしましょう。