よりコンパクトなシステムを作るには

性能や効率を妥協することなく、コンパクトで持ち運びやすい洗浄&クリーニングシステムを設計する方法を学びましょう。

このタスクでは、設計段階で小型化に力を入れることで、効率を下げることなくよりシンプルなシステムを完成させる方法について解説していきます。ここでは洗浄&クリーニングシステムを例としてとりあげます。

洗浄&クリーニングシステムではスペースが限られていることが多く、コンパクトでありながら非常に高い圧力を達成することのできるポンプが求められます。また、泡ディスペンサー用低圧出力、すすぎ用中圧出力、洗浄用高圧出力の3つの機能が搭載されたスプレーガンが用いられるのが一般的です。この3つの機能のために、1つのポンプで3段階の圧力を出力しなければなりません。そのうえコンパクトで持ち運びできるシステムにするのはかなりの難題です。

しかし、ソリューションへ進む前に、20 bar の標準的な洗浄&クリーニング用システムの構造について見てみましょう。

一般的なシステムでは、グルンドフォス CR5-36のような比較的大型のポンプがカートや壁面設置のキャビネットに取り付けられています。ポンプが大きいため低回転でも高圧力を実現できますが、持ち運びやすさの点ではデメリットがあります。   

それでは、どうすれば同レベルの性能を維持しながらよりコンパクトな洗浄&クリーニングシステムを設計できるのでしょうか?成功のカギを握るのは高速運転です。これが具体的に何を意味するのか、詳しくご説明しましょう。

コンパクトなシステムを目指すなら、ポンプを小さくしなければなりません。小型ポンプは低圧用途向けに設計されており、洗浄&クリーニングシステムには適していないため、使用されないのが一般的です。しかし、グルンドフォスのCRシリーズなら話は違います。

コンパクトなCRE3ポンプは、高速運転に対応できるようカスタマイズすることができます。パワフルな電動機を取り付けて通常よりも高い速度で運転すれば、もっと大きなポンプと同レベルの性能を発揮することが可能です。これが、高速運転を行う理由です。ポンプの性能を向上させるのです。

ここで1つ指摘しておかなければならないのは、ポンプの効率が低い範囲で運転することになるため、速度を2倍にすると電動機は8倍の電力を消費することになるという点です。

ですが、洗浄&クリーニングシステムを使用する大多数の施設は、洗浄を行っている間は生産プロセスを中断しなければならないため、消費電力を最小限に抑えることよりも、洗浄システムが常に素早く効率的に運転できることのほうが重要です。

最後に、コンパクトな高性能洗浄&クリーニングシステムの特殊機能について簡単に触れておきましょう。

「極限電力で作動」は、電動機が極限電力に達するまで電動機の速度を上げることができる機能です。グラフに示されているように、電動機の公称出力を超えない限り、電動機の速度を上げるほどポンプの圧力を上げることができます。これによって作動範囲が大きく広がることになります。

赤い曲線を見てください。ポンプが公称速度にあるときは、電動機の最大出力を限界まで活用できていません。ところが電動機が最大出力に達するまでポンプの速度を上げていくと、緑の曲線からもわかるようにポンプの圧力を大きく上げることができます。こうすることで、購入したシステムから最大限の出力を引き出すことができるのです。

インテリジェントな洗浄&クリーニングシステムには、洗浄プロセスが停止するとポンプを直ちに停止させる機能も備えられています。また、複数の運転点を設定できるデジタル入力機能もあり、洗浄プロセスに素早く順応することもできます。さらに、システム内の様々な数値を測定するための入力や、外部装置を制御するための出力も搭載されています。

このように、コンパクトでありながら大きなシステムに負けないパワフルなシステムを設計することが可能なのです。設定がいくつもある使いづらい洗浄&クリーニングシステムで我慢するより、従来とは異なるインテリジェントなアプローチを用いて、コンパクトでありながら同レベルの性能を発揮でき、さらに出力と圧力を最大限に引き出すことができるソリューションを完成させましょう。インテリジェントな高性能ポンプを選べばさらにコンパクトで持ち運びしやすいシステムに仕上がります。壁面設置や移動式の洗浄&クリーニングシステムにぴったりです。

コース概要

モジュール
モジュール: 3
完了時間
完了時間: 21 分
難易度
難易度: 上級