目的に適したポンプ選びの重要性

目的に合ったポンプとサイズ選びの重要性について学びましょう

産業用水供給システムに使用するポンプを選択する際には、考慮するべき項目がいくつかあります。

このタスクではその代表的な例と、最適なポンプ種類を選び、サイズを正しく決定することがなぜそれほど重要なのかを解説していきます。

まず、ポンプには水を移送するだけのシンプルなものから、周囲の条件や需要に合わせて出力を調整できるだけでなく、設置されたシステム全体の性能を向上させることができるインテリジェントなものまで、複数の種類があります。一部のポンプにはいくつも機能が搭載されていますが、機能が多いほどよいというわけではありません。すべては使用目的によって異なります。

一定の速度で水を移送する標準的なポンプが最も適している場合もあれば、インテリジェントポンプが最も適している生産ラインもあるでしょう。例えば、インテリジェントポンプの中には接続された監視システムと通信を行って負荷プロファイルに合わせて出力を調整し、システムの性能を最適化すると同時に、運転データを記録できるものもあります。

一定の速度で水を移送したいだけの場合も、変動する需要に対応できるポンプをお探しの場合も、どのポンプを選択するかは最終的にはお使いのシステムや直面している課題の複雑度によって異なります。

必要なポンプの種類が特定できたら、次はサイジングです。これまでの統計から、このプロセスが簡単なものではないことがわかっています。推定では、約90%のポンプがオーバーサイズだと言われています。

ポンプのサイズが大きすぎるとエネルギーの無駄遣いになるうえ、ポンプに接続するそのほかの装置もサイズを上げる必要があるため、初期投資費用が大きくなってしまいます。ですが、なぜこれほど多くのポンプがオーバーサイズになっているのでしょうか?実は、その答えはとても簡単です。

大きめのポンプが選ばれているのは、主に安全上の理由からです。多くのオペレーターが年に数回ほどしか発生しない最悪のシナリオに基づいてサイズを決定しています。また、安全対策としてさらに10%が上乗せされることも多くあります。

ではここで、ポンプ選びのプロセスに複数の段階があると想像してみましょう。オペレーターがすでに10%大きめのサイズを選択したとして、幹部のメンバーがさらに10%を追加すると、ポンプは必要な容量よりも大幅に大きくなってしまいます。その結果、電気代が必要以上に高くなってしまうのです。さらに、ポンプが大きいほど配管も大きくしなければなりません。モータが大きいほど、電気配線やインバータなども大きくする必要があり、システム全体が必要以上に高額になってしまいます。

この問題に対するスマートな解決方法は、システムの負荷プロファイルに基づいてポンプサイズを決定するやり方です。つまり、どのくらいの量の液体をいつ移送する必要があるかを特定するデータを作成します。起きるかもしれない最悪のシナリオではなく、平均的な運転条件に基づいてサイズを選ぶ方が合理的です。ですが、必要に応じて出力を上げることができるものを選びましょう。インバータを内蔵したインテリジェントポンプを設置し、センサや監視システムを追加すればこの問題は自動的に解決します。

大きすぎるポンプは新しいシステムだけの問題ではありません。いくつもの生産施設で、ポンプを交換する際には仕様が同等のポンプが選ばれています。サイズを小さくすると、それまでに慣れ親しんだ性能を達成することができないのではないかという不安があるからです。

ですが、このような施設では最初のポンプが設置されてから生産ラインのアップデートや改造が行われたかどうかを考慮していないことが多くあります。このような変更は例えば水の消費量に関する新しい規則などが原因であることがほとんどですが、すると新しいポンプは古い条件に従って運転されることになります。

より交換に適したオプションを無視してサイズの大きなポンプを使い続けることは、ポンプだけでなく、ポンプを接続しているほかのアプリケーションを損傷するリスクを負うことになります。詳しく見ていきましょう。

ポンプのサイズが需要よりも大きい場合、ポンプに出力制御を施さない限りは流量も高くなります。するとポンプの入口側でキャビテーションが起きやすくなり、最悪の場合はポンプの故障に至るだけでなく、システムを停止させることによる生産ロスにつながります。

しかし、大きすぎるポンプによって起きる問題はキャビテーションだけではありません。

生産ラインがオフィスの近くにあり、高流量で水を移送していると想像してみてください。このようなケースでは騒音が大きくなり、オフィスで働くスタッフの迷惑となります。これよりもさらに深刻な問題は、運転速度が上がることでキャビテーションによる弁の損傷が起きてしまうことです。弁が損傷するとシステム全体の故障につながり、多額のコストが発生します。

ではどうすればこの問題を防止できるのでしょうか?まずは負荷プロファイルに合ったポンプサイズを選択することがきわめて重要です。

さらに、インバータを内蔵し、システムと通信することのできるインテリジェントポンプを使用すれば、常に最適な制御モードでシステムを運転することができるようになります。例えば、定圧制御ではなく、需要に応じて出力を調整する比例圧力制御です。

結論として、ポンプのサイズを正しく選ぶことで、よりスムーズなシステム運転が実現するだけでなく、投資費用やコストの削減につながり、産業用水供給システム全体の性能を最大限に向上させることが可能になります。

コース概要

モジュール
モジュール: 3
完了時間
完了時間: 20 分
難易度
難易度: 中級