深井戸水中ポンプの選定
井戸の性能を最適化し、寿命を最大限に伸ばすための深井戸水中ポンプの選定方法を学びましょう。
このタスクでは、井戸の能力を最適化するための深井戸水中ポンプの選定方法を解説します。また、ポンプ設備の効率を向上させ、長期にわたってトラブルのないスムーズな運用をするために考慮しておきたい問題についても簡単にご紹介します。
選定において最初に明確にしなければならないのは揚水量です。設計者はピーク時における水のピーク需要量を算出しているため、この数字を提供することができます。掘削業者は井戸が提供できる水の量を試験しなければなりません。過剰に取水してしまわないためにも重要な情報です。
次に、ポンプに求められる圧力または揚程を算出します。この際、考慮するべきパラメータが4つあります:
• 水供給システムに必要な圧力
• ポンプ設備の摩擦損失
• 吸上高さ
• 水位低下です
水位低下とは、通常の静水位と、ポンプ運転中の水までの深さを示す動水位との差を指します。
ポンプ運転時の水位低下が大きいほど、地下水を地表にくみ上げるのに必要な圧力が大きくなります。
圧力の計算方法を、例を使って説明しましょう。
例えば水供給システムに必要な圧力が3 bar、または揚程30メートルで摩擦損失が2.5 bar、または揚程25メートル、吸上高さは50メートル、水位低下は5メートルとします。
この4つの要素の合計がポンプに要求される圧力です。ここでは110メートルまたは11 barとなります。
複数の井戸が存在する区域では、複数のポンプを同時に運転すると水位低下がさらに大きくなることを考慮しなければなりません。つまり、必要な揚水量を達成するのにより大きな圧力が必要になる可能性があるということです。
ポンプのサイズ選びを誤ると、深刻な問題につながる恐れがあります。ポンプが小さすぎる場合、流量や圧力が不足し、時間当たりに求められる揚水量や揚程を達成できない可能性があります。逆にポンプが大きすぎるとエネルギー効率が下がり、運用費が必要以上に高くなってしまいます。
最後に、深井戸水中ポンプを選ぶ上で考慮しておきたいそのほかのパラメータについて見てみましょう。
深井戸水中ポンプは3段階の等級のステンレス鋼を用意しています。最適な等級を決めるのは、揚水する水の腐食性です。水の腐食性が強いほど、ステンレス鋼の等級も上がります。
電動機は井水によって冷却されています。周囲の水の温度が一定のレベルを超える場合は、電動機の出力を見直す必要があります。最も一般的な解決方法は、余裕ある大きな電動機を使うことです。
低電圧、過電圧、位相不平衡などの電力供給の変動は、電動機の損傷につながる恐れがあります。電動機保護を行えば、外的な要因からシステムを保護することができ、どんな時でもポンプをスムーズに運転することができます。
そして最後に、深井戸水中ポンプには耐水性のケーブルを使用することをおすすめします。ケーブルは水が染み込むと故障してしまい、ポンプ全体を井戸から取り出してケーブルを交換しなければならなくなります。これには多額の費用がかかるため、事前に対策をしておく方が結果的にコストを低く抑えられます。
よって、性能の最適化と長寿命、運用費の削減を実現するには、
• ポンプのサイズを正しく選び
• 水質に合った材質のポンプを選び
• 外的な要因からポンプを保護し
• 耐水性のケーブルを選ぶようにしましょう