エコノマイザー:ボイラシステムでエネルギーの無駄をなくす
エコノマイザーを使って消費電力や運用にかかるコストを削減する方法を解説します。
エコノマイザーは、ボイラーシステムの中で失われてしまうエネルギーを回収して再利用することで、消費電力や運用費を削減することができる装置です。このタスクでは、エコノマイザーを最大限に活用する3つの方法を実際の例を使って図解します。ですが、まずはエコノマイザーの仕組みを理解しましょう:
エコノマイザーはボイラーで発生する排ガスの熱エネルギーを吸収する、シンプルで効率的な装置です。冷水を通した配管が張り巡らされた空間に排ガスを通すことで、その熱を水に伝導させます。回収されたエネルギーはシステム内のほかの部分で利用するか、地域の暖房施設に売却することができます。
例にとりあげる大型靴工場では、ボイラーシステムの効率を向上したいと考えていました。
この工場では、大型ボイラーで発生させた蒸気を、開放プロセスと閉鎖プロセスの両方で加熱に使っていました。排ガスの温度は最高300℃にまで達していたため、システム最適化による省エネ効果が大いに期待されました。
まず、システム内にある3つのプロセスである、凝縮水の過熱、給水の予熱、そして水道水の加熱のためにボイラーに3台のエコノマイザーを設置することが決定されました。それぞれのエコノマイザーを詳しく見ていきましょう:
ボイラーシステムの中では、蒸気の損失は避けることはできません。この損失を補いシステム内に適切なバランスを維持するため、凝縮水タンクに補給水を追加する必要があります。しかし、これによってタンク内の水の温度が下がってしまうため、再び過熱が行われる脱気装置での消費電力が増えてしまいます。
この靴工場ではエコノマイザーを戦略的に配置することでこの問題を解決しました。ループを作ることで凝縮水はエコノマイザーを通ってタンクに戻り、この間に温度を53℃から77℃に上昇させることができます。
その結果、脱気プロセスの効率が向上し、消費電力が削減されるとともに、システム内の水温がより一定に保たれるようになります。
2台目のエコノマイザーは給水温度を上昇できるようボイラーと給水ポンプの間に設置されました。脱気された水をエコノマイザーに通すことで、温度が105℃から140℃に上昇します。これによって、ボイラーは水の温度をさらに35℃上昇させるだけで沸点に到達させ、蒸気に変えることができるようになり、負担が軽減します。
3台目のエコノマイザーは水道水システムに設置されました。この靴工場では革素材の生産も社内で行っており、革の染色や表面処理に1日50トンもの温水が使われていました。このような加工で適切な結果を達成するには、水の温度を55℃以上に上昇させる必要があります。水道水の温度は10℃であるため、この加熱プロセスで大量の電力が使われていました。
しかし、水道水をエコノマイザーの中に通すことで追加の過熱装置を使わずに理想的なレベルにまで温度を上げることができ、消費電力を大幅にカットすることに成功しました。
3台のエコノマイザーによって、年間150,000m3もの天然ガスが節約されることになりました。これは年間70,000ユーロ以上に相当します。
結論:
エコノマイザーは排ガスを純粋なエネルギーに変換し、ボイラーシステムで直接再利用して消費電力をカットしたり、地域の暖房施設に売却して運用費を削減するのに役立ちます。
エコノマイザーが回収したエネルギーは、凝縮水の過熱から水道水の過熱まで、ボイラーシステム内の様々なプロセスに活用できます。
省エネ効果は非常に大きく、システム改善にかかった投資額を2年未満で回収することが可能です。