事例
冷却塔における安全で効果的な水質調整
- 全体的なオペレーションの最適化
- 化学物質の使用量を削減
- 水の消費量を節約
施設内の目立たない場所に設置されている冷却塔は、何らかの信号を発していても対処されていないことが多く、その結果、大きな損失が生じる可能性があります。冷却塔が最適に機能すれば、施設や建物の水とエネルギーのフットプリントを全体的に削減することができるのです。
以下は、冷却塔の水処理に関する課題を解決するために、グルンドフォスのiSOLUTIONSが最適であると判断されたケースストーリーです。このソリューションは現在も進行中です。
冷却塔の課題が及ぼす、水の効率と安全性への影響
あるヨーロッパの金属機械メーカーは、日常業務における課題を抱えていました。生産担当者は、生産ラインから数百メートル離れた建物にある冷却塔の1つに異常があると判断をしました。設備管理者とともに状況を分析したところ、それは想像以上に複雑な状況でした。
まず、製造責任者と施設管理者に加えて、建物の外注メンテナンス会社や化学薬品サプライヤなど、複数の部門、会社が関わっており、その連携が十分ではありませんでした。
そのため、現場での監視やオペレーションに手間がかかり、結果として、いくつかの課題が発生していました。
手動での消毒
消毒剤を添加するホースに空気が混入していたため、正確な添加が行われていませんでした。その結果、細菌数が化学薬品供給会社の推奨値の2倍となっていた上に、年間10回の訪問が行われていたにも関わらず、細菌数の変動を見逃していました。
生物学的汚染とレジオネラ菌のリスク
細菌抑制の欠如は、ファウリングの高いリスクと人々の健康への脅威を意味します。メンテナンスの委託先は、このリスクを最小限に抑えるため、誰にも知らせずに塩素タブレットを追加しました。しかし、残念なことに、これだけでは課題を解決することはできませんでした。調整作業は日誌をつけることなく行われたため、状況を把握することは困難でした。
水の大量消費
上図のように、導電率や水収支が不安定で、システムの性能に影響を与え、水の消費量が増加していました。補水バルブが誤って手動で開かれ、その後閉じられることはありませんでした。次の定期点検までの数日間、監視は機能せず、アラームが発せられることも無かったため、タンクの1つが常に溢れていました。
この間、別のタイミングで主監視用PLCのファームウェアが更新されたのですが、その後3日連続で予期せぬ補水を常時作動してしまうという事態が起きました。同社は水の使用量を減らすことに強いこだわりを持っていたため、水の無駄遣いと言えるこのような事態は、容認できるものではありませんでした。
リソースを必要とするコンプライアンスレポート
施設管理者によると、同社は時間のかかる法令遵守の報告にも苦労していました。データの記録と追跡は手作業で行われていたため、多くの時間を浪費し、不正確な報告をするリスクも生じていました。
ソリューションと成果
グルンドフォスのiSOLUTIONSが、監視可能で正確な薬液注入を実現
施設責任者は、グルンドフォスが新たに開発したインテリジェントソリューションについて強い関心を持ちました。それは、デジタル定量ポンプ、測定・制御装置、コンポーネントをつなぐクラウドベースの遠隔監視システムなど、複数の機能が組み合わされたソリューションです。システムはまだ稼働していませんが、よりスムーズなオペレーション、より優れた細菌抑制、より簡単なコンプライアンス報告、水の消費量の削減の実現が期待されています。
新たに開発されたグルンドフォスの化学薬品管理アプリは、すべての運用パラメータを一箇所に集約します。このソリューションは、化学薬品の適切な使用を保証するもので、使用者の安全性を向上させます。すべてのシステム関連データをオンラインで測定し、要求に応じてコンプライアンスレポートを作成します。また、警告、停止、化学薬品の状態をリアルタイムで表示することができ、稼働率を向上させることができます。また、消耗品の補充が必要な場合は、オペレーターにSMSを送信します。
導電率を測定することで、グルンドフォスの測定・制御システム「DID」は、冷却水が臨界分子量に達したときに即座に反応することができます。これにより、ブローダウンに自動的に反応し、手動操作の必要なく水質を最適なパラメータで保つことができます。また、この装置は、必要な消毒剤の適正量を薬注ポンプに通知し、過剰投与や過小投与を回避して、細菌の増殖を抑制します。同時に、グルンドフォスのスマートデジタル定量ポンプDDA FCMとその統合インテリジェントアルゴリズムは、インレットホースに空気が混入するのを防ぎ、万が一その事態が発生した場合にはシステムでアラームが作動します。
透明性の高いシステム情報と関係各所との連携
グルンドフォスのソリューションでは、全ての関係者がいつでも全ての情報を利用できるようになります。これにより、施設管理者、メンテナンス技術者、オペレータ、化学薬品サプライヤが連携し、システムで発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことができます。また、冷却塔の全体的な運用を最適化し、水、エネルギー、化学物質の使用量の管理状況を改善することができます。