ポンプ省エネ診断と負荷プロファイル

最適な温調システムの設計におけるポンプ省エネ診断のメリットを解説します

産業プロセスのほとんどが、加熱、冷却、冷蔵/冷凍システムに直接的に依存しています。しかし、こういったシステムの多くが効率の低い設計になっており、メンテナンス費や消費電力が必要以上に高くなっています。

主な原因の1つとなっているのが、負荷の変動を考慮していない、定速ポンプと制御弁の組み合わせを使っている点です。例えば夜間など冷却への需要が低い場合でもポンプが最大速度で運転することになります。

つまり、負荷プロファイルを特定し、特定の需要に合わせて順応できる温調システムを設計することで大幅なコスト削減を実現することができます。冷却システムからいくつか例をとりあげて詳しく解説しましょう:

例えば、冷却システムの負荷プロファイルが比較的安定しており、高い流量を維持している場合は、運転調整機能のないポンプから差圧センサで制御を行うポンプに切り替えることで消費電力を12%近く削減することができます。ですが、温調機能のある需要予測システムにした場合は省エネ効果は36%になります。

一方、流量が低く1日の間にピーク時が複数存在する負荷プロファイルの場合は、差圧制御システムに切り替えると消費電力を30%削減できます。ですが、温調システムを選ぶと省エネ効果をなんと72%にまで引き上げることができます。

これはシステム最適化を行う理由として十分説得力のある主張です。しかし、ポンプの負荷プロファイルを把握している企業は多くありません。そこで、潜在的な省エネ率を教えてくれるポンプ省エネ診断が役に立ちます。

ポンプ省エネ診断とは、簡単に言えば既存ポンプの現地での測定に基づいた系統的な性能解析です。診断では担当者が高度な機器を使い、差圧や消費電力のほか、液体の温度や比重、粘度を測定します。

結果をまとめた報告書では既存のポンプシステムと推奨される代わりのシステムのデータ比較に加え、

投資費用などのデータや新システムへの投資回収期間を示すグラフなども含まれます。

ポンプ省エネ診断のあとに推奨案に従ってシステム変更を行うと、経済面、運営面、環境面で多くのメリットが得られます。

まず、維持費が削減され業績が向上します。70%を超える経費削減ができ、ポンプシステム最適化にかかった投資は1~5年で回収することができるからです。

次に、ポンプシステム全体を完全かつ徹底的に把握できるようになります。運営データを利用すれば生産システムをスムーズに運転し、システムの休止時間を防ぎ、メンテナンスの時期を正確に計画することが可能です。

そして最後に、二酸化炭素排出量を平均30%削減することができます。事業のグリーンなイメージが向上するうえ、より厳格なエネルギー規則に準拠できるようになるでしょう。

おさらいしましょう:

負荷プロファイルを考慮していない、運転調整機能のない温調システムは、最適化によって性能を大きく改善できる可能性があります。

ポンプ省エネ診断では、現在の負荷プロファイルの概要と明確なシステム設計案をご提案します。

この推奨案を実行すると、消費電力の削減に加え、信頼性の向上や環境影響の改善につながります。

コース概要

モジュール
モジュール: 4
完了時間
完了時間: 30 分
難易度
難易度: 上級